水やりとは何か?
植物を育てている方なら誰もが一度は必ずやったことがあると思います。
普段何気なく行っている「水やり」ですが、植物の生長を支える一方で
植物そのものを枯らしてしまう原因にもなります。
あなたは水やりにはどんな役割や影響があるかご存じでしょうか。
実は、「ただただ植物に水を与える」だけではないのです。
意外と知らない水やりの、奥が深い世界を少し覗いていきましょう。
「水やり三年」とは
園芸業界には水やり三年という言葉があります。
これは”植物と水との関係をを理解し、植物の特性や設置環境に合った水やりが
できるようになるには少なくとも三年の経験が必要”ということです。
このブログでは3回に分けて「水やり三年」の手助けをできれば、と考えています。
- 【一年目】水やりとは
- 【二年目】環境とは
- 【三年目】水をやるとき、やらないとき
水やりの目的
まず、水やりの一番の目的は
『植物に水分を供給すること』
これはそのままなのでイメージしやすいかもしれません。
これだけ聞くと簡単そうですが、植物は根の先端からのみ水分を吸収します。
水やりとは厳密に言うと「植物の”根”に水分を届ける」こと。
「土を濡らす」だけでは植物の根に水分を届けることはできません。
水分は何に使われるのか
私たちが植物に届けたその水は主に次の活動に使われます。
・光合成
植物が太陽エネルギーを利用し、根から吸いあげた水分と、空気中の二酸化炭素を使って糖やデンプンなどの炭水化物(有機物)を生成すること。
・蒸散
主に葉の裏の気孔から水が出ていく(蒸発していく)現象。上から出ていくことによって、下から(根)の水を引き上げることができる。
・栄養の運搬
根から吸収した水の中にミネラル(肥料成分)が溶けており、水の流れに乗せて全身に運んでいる。
水やりの意外な役割
もう一つの大事な役割、それは
『植物に空気を届けること』
水やりの説明で「鉢の底から溢れるくらいたっぷりと」というのを見たことはないでしょうか。
これは鉢の底から水が出ていくときに一緒に鉢の中の古い空気を押し出していくので、
上から新しい空気が入り込み、鉢内の換気になるのです。
少量の水だと土が濡れるだけで空気の入れ替えが出来ないため、「たっぷりと」と表現されています。
空気は何に使われる?
では、その空気は何のために使われるのかというと、
あまり馴染みがないかもしれませんが「根の呼吸」に使われています。
葉と同じように根も呼吸しており、根の活動には酸素が必要不可欠です。
根が酸素を欲しているのに使えない状態=酸欠
この酸欠とその後のダメージこそが『根腐れ』の正体なのです。
水やりはしているのに植物が枯れてしまう…
それはもしかすると根腐れが原因になっているかもしれません。
水やりは「回数」ではなく「タイミング」
よく「週何回水やりすればいいですか?」「何日に1回水やりですか?」
といった質問を多くいただきますが、正直に言いますと「答えられない」というのが本音です。
というのも水やりの回数は設置した環境に大きく左右されるからです。
同じ大きさの同じ種類の植物でも、2日に1回水やりする環境もあれば、1週間水をやらない環境もあります。
乾燥の速度は「日当たり」「風通し」「気温」「鉢の大きさ」などの様々な要因によって大きく変わり、
乾燥に度合いに比例して水やりの頻度も増えたり減ったりします。
ここに「土の種類」「人の出入りの有無」「空調」などの要素も複雑に関わってくるのが厄介なところですが、
知れば知るほど水やりがさらに奥深いものに感じられると思います。
単純ですが簡単ではない水やりの世界、次回はもう少し深く「環境」について見ていきます。

