根っこから知る、水耕栽培と植物の増やし方
植物を育てるとき、「植物には土が必要」と思っている方も多いかもしれません。
でも、水耕栽培を見ていると、土は無くても植物は元気に育っています。
では、土の中で育つ根と、水の中で育つ根にはどんな違いがあるのでしょうか。
根っこの役割は「水と養分を吸う」だけじゃない
根の大きな役割は、水や養分を吸収すること。
それだけでなく、植物の体を支えたり、根の周りの環境から酸素を取り込んだりと、植物が生きていくために大切な仕事をしています。
土栽培では、土が根を支えながら水分や養分を保持し、根の周りに空気の層をつくってくれます。
つまり土は根が暮らすための環境そのもので、「植物の家」と言っても過言ではありません。
水の中で育つ根は、土の根とは少し違う。
水耕栽培では、根が直接水に触れています。
一見すると「ずっと水があるなら、植物にとって楽そう!」と思いますが、実はそう単純ではありません。
上述したように、根は酸素の吸収も担っています。
土の中には、粒と粒のすき間があり、そこに空気が存在しています。
水はけの悪い土で根腐れが起こるのも、根の周りが水で満たされ、
本来あるはずの空気の層が無くなることで酸素が不足することが大きな原因のひとつです。
一方、水耕栽培では、水の中に酸素が供給される環境をつくることが重要になります。
例えば、花瓶などで植物を育てているとき、いつまでも同じ水を入れっぱなしにするのではなく、
定期的に水を交換します。これは水をきれいに保つだけでなく、
新しい水を入れることで、根が利用できる酸素を補うことにもつながります。
「土があるか、水があるか」よりも、「根が、必要な水・養分・酸素を受け取れるか」が大切なのです。
根っこは環境に合わせて変わる
土で育てていた植物を水耕栽培に移すと、根の様子が変わることがあります。
土の中では、土の粒のすき間に水分と空気があり、根はその両方を利用しながら成長しています。
そこから水の中へ環境が変わると、これまでの根がそのまま同じように働けるとは限りません。
土から水耕栽培へ移した場合、土の環境に適応していた根の一部が傷んだり枯れたりしながら、
水の環境に適応した「細く白っぽい根(いわゆる水耕根)」が新しく伸びてくることがあります。
反対に、水耕栽培で育った植物を土へ植える場合も同じです。
水の中で育っていた根が、今度は「土の中」という、空気の量や水分の状態が大きく異なる環境に置かれます。
そのため、植え替え直後に根がうまく働けず、葉がしおれたり、一時的に成長が止まったりすることがあります。
時間をかけて土の環境に適応した根を伸ばしていくことで、少しずつ土栽培に馴染んでいきます。
つまり、土の根と水耕の根は、単純に「水の中にあるか、土の中にあるか」だけの違いではありません。
植物は、根の形や働きをその環境に合わせながら生きています。
だからこそ、土栽培から水耕栽培へ、あるいは水耕栽培から土栽培へ移すなど急激な変化を伴う場合は、
植物にかかる負担をできるだけ抑えられるように人間がサポートし、新しい環境に適応する時間をつくってあげることが大切なのです。
「根」を考える
普段はほぼ見えない根っこですが、そこには植物が生きるための仕組みがたくさん詰まっています。
土で育てる、水で育てる。
方法が変わっても、植物が必要としているものは大きくは変わりません。
「植物には土が必要」ではなく、「植物には、根が生きられる場所(環境)が必要」。
ーー今日も根が植物の身体を支え、水分・養分を吸収している。
そう考えて根のことをねぎらってあげてください。
そうすればいつもの植物の見え方も少し変わってくるかもしれません。

